<イベントの方程式とは>
第6回に引き続き方程式シリーズです。
今回の方程式はトイレです。
前回の方程式<受付の方程式>をまだお読みでない方は、ぜひこちらも読んでみて下さい。
トイレに方程式?
何のことだろうと思うかもしれません。
イベントにおいてトイレというのはとても重要なポイントになるんです。
みなさんがイベントに行かれた際にトイレを利用されていると思いますが、今回はイベント会場のトイレの話です。
イベント屋としては、トイレについてはしっかりと知っておかなければいけない要素の1つです。
<イベントの方程式ー受付>
今回も長文ですので、覚悟してお読みください。
それでは、前回同樣に早速、問題です。
■問題
■考え方
前回の受付方程式と同じく”時間”という概念は必要ですが、実際には受付時のように細かくは必要ありません・・・というか、出せません。
トイレはどのタイミングで行くのかが明確でないのと、1日を通して利用できるため、分単位での厳密さは必要ないということです。
ここで、イベント屋の考え方として、
・トイレは1日を通して利用するものなのか
・もしくは、プログラムとプログラムの間にのみ利用するものなのか
という、大枠の時間の概念を確認すべきです。
条件にある3万人が1日を通していつでも使えるものなのか、
音楽フェスやエンタメショーのようにプログラムとプログラムの休憩時間にのみ使うものなのか。
という条件です。
屋外イベント(○○フェスティバルやフェア的なもの)の場合は、入場してしまえば、参加者の行動パターンは自由行動になることが多く、トイレの利用は1日を通して使えることが多いです。
もちろん、時間が限定されるイベントもありますね。
音楽フェスや、サーカスなど、プログラム公演時間が明確な場合です。
今回は、1日を通して仮設トイレが利用できるパターンで考えてみましょう。
トイレの台数を考える時に必要となる要素があります。
■前提条件
■台数計算
■横道にそれますが・・・

■話を戻して
【まとめ】
トイレ設置台数(x)=
【結果的には・・・】
クライアントさんなり、お客さんに対して69台ないとダメですね。。。って言ったことはないです。というのも、この計算には、「使わない人」比率や、「大用比率」が入ってない上に、最も大事な条件の「予算」が含まれていないからです。
トイレの行列はどのイベントでも「仕方ない」になってしまっています。もちろん、私達スタッフ側も行列を作りたくはないですし、スムーズな運営を目指していますが、実際は屋外イベントで近隣にトイレがない場合、行列が出来てしまう台数しか入れることが出来ません。
トイレを設置する費用には、「レンタル費」「運搬・設置・撤去人件費」「汲み取り費」「清掃費」などの諸費用が含まれており、1台あたり3万〜4、5万程度かかってしまいます。まぁ、末端価格ですが。
それ以外に、「トイレメンテナンス費」といって、トイレットペーパーや、水の補充、当日清掃や、列の整理誘導などを行ってくれるスタッフの費用も発生します。
そのため、人数は目安として考え、現地のスペースや予算に応じて設置することになります。どうしても、メインとなる費用でないため予算の割合は非常に低いものとなってしまいますが、トイレの混雑は意外とクレームになることも多いので気をつけましょう。
■仮設トイレに関しての注意事項
おまけですが、仮設トイレに関しての注意事項をお話します。
ここまで真剣に読んだ人は、きっとこの話も興味深く読める人でしょう。
仮設トイレは、「仮設」と言われるだけあって、仮の設置です。
何が借りかというと、「水洗」ではないということです。
もちろん水は流れます。足元のペダルやボタンを踏むと流れますが、その水は水道から出たものではなく、仮設トイレについている「水タンク」から出たものです。そして、便器の下には「便槽」と呼ばれる「し尿」を貯めるタンクがあります。簡単に言えば昔の「ポットン便所」で、「簡易水洗式」と呼ばれます。
イベントが終了するとし尿を汲み取る「バキュームカー」という車両が来て、便槽からし尿を汲み取ります。
そのし尿は、し尿処理場に運ばれ、費用を払って処理をしてもらいます。
■最後に/イベント屋として覚えていてほしい
イベント屋さんとして、トイレに関して覚えていてほしいことは、
特に土日祝日に行われるイベントは②、③を十分に注意してください。
ごみ処理と違い臭いが発生するため、汲み取りが日曜日に出来ないからといってトイレを持ち帰ることが出来ない場合が多いです。
そのため、イベントが日曜日に終了・撤去が行われても、仮設トイレだけそのままになることもあり、月曜日に汲み取り・撤去が必要になるケースが出てきます。
汲み取りはそれぞれの市区町村で多少違いがありますので、東京で出来たからといって、横浜が同じ条件ではない場合もあります。
詳しくは、
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」をご覧ください。
トイレだけではなく、イベントで重要となるゴミ処理に関しての法律でもあります。
長々となりましたが、トイレとイベントは切っても切れないものですので、ぜひより良いイベント作りのために覚えておきましょう。
第6回に引き続き方程式シリーズです。
今回の方程式はトイレです。
前回の方程式<受付の方程式>をまだお読みでない方は、ぜひこちらも読んでみて下さい。
トイレの方程式
トイレに方程式?
何のことだろうと思うかもしれません。
イベントにおいてトイレというのはとても重要なポイントになるんです。
みなさんがイベントに行かれた際にトイレを利用されていると思いますが、今回はイベント会場のトイレの話です。
イベント屋としては、トイレについてはしっかりと知っておかなければいけない要素の1つです。
<イベントの方程式ー受付>
今回も長文ですので、覚悟してお読みください。
それでは、前回同樣に早速、問題です。
■問題
屋外のイベントが実施されます。
そのエリアは近隣には建物がありません。
そのため、来場者のための仮設トイレを設置することになりました。
3万人が来るイベントですが、仮設トイレは何台設置するべきですか?
Q1:確認すべき条件は何ですか?
Q2:仮設トイレは何台必要ですか?
そのエリアは近隣には建物がありません。
そのため、来場者のための仮設トイレを設置することになりました。
3万人が来るイベントですが、仮設トイレは何台設置するべきですか?
Q1:確認すべき条件は何ですか?
Q2:仮設トイレは何台必要ですか?
■考え方
前回の受付方程式と同じく”時間”という概念は必要ですが、実際には受付時のように細かくは必要ありません・・・というか、出せません。
トイレはどのタイミングで行くのかが明確でないのと、1日を通して利用できるため、分単位での厳密さは必要ないということです。
ここで、イベント屋の考え方として、
・トイレは1日を通して利用するものなのか
・もしくは、プログラムとプログラムの間にのみ利用するものなのか
という、大枠の時間の概念を確認すべきです。
条件にある3万人が1日を通していつでも使えるものなのか、
音楽フェスやエンタメショーのようにプログラムとプログラムの休憩時間にのみ使うものなのか。
という条件です。
屋外イベント(○○フェスティバルやフェア的なもの)の場合は、入場してしまえば、参加者の行動パターンは自由行動になることが多く、トイレの利用は1日を通して使えることが多いです。
もちろん、時間が限定されるイベントもありますね。
音楽フェスや、サーカスなど、プログラム公演時間が明確な場合です。
今回は、1日を通して仮設トイレが利用できるパターンで考えてみましょう。
トイレの台数を考える時に必要となる要素があります。
ということです。
②は比較的理解できると思います。
女性の方が使用時間は長いですよね。
では、①はどうでしょう。
ちょっと考えてみて下さい。
あなたがトイレに行っている時間は何秒ですか?
さて、みなさんは、このような団体があるのをご存知でしょうか。
「一般社団法人 日本トイレ協会」
トイレに関する研究を行っている団体です。
トイレを知る上で、非常に興味深いサイトです。
この日本トイレ協会会長の高橋志保彦さんが作った
「トイレ文化小論」 という論文があります。
この中で、
②は比較的理解できると思います。
女性の方が使用時間は長いですよね。
では、①はどうでしょう。
ちょっと考えてみて下さい。
あなたがトイレに行っている時間は何秒ですか?
さて、みなさんは、このような団体があるのをご存知でしょうか。
「一般社団法人 日本トイレ協会」
トイレに関する研究を行っている団体です。
トイレを知る上で、非常に興味深いサイトです。
この日本トイレ協会会長の高橋志保彦さんが作った
「トイレ文化小論」 という論文があります。
この中で、
どうですか?ご自身のトイレの時間を想像していただくと、近似値でしょうか?
当然、夏と冬では多少変化がありますが、今回はあくまでも平均として考えていきましょう。
当然、夏と冬では多少変化がありますが、今回はあくまでも平均として考えていきましょう。
■前提条件
利用時間を、男性=約30秒、女性=約1分30秒とて考えましょう。
イベント開場時間を8時間として考えましょう。
イベント開場時間を8時間として考えましょう。
■台数計算
まずは、極論で計算していきましょう。
来場者全員が男子の場合、1台の仮設トイレでは、
開場時間8時間=480分
480分÷0.5分(=30秒/利用時間)=960名 が利用可能
30,000名÷960名=31.25台
※男性は8時間で960人利用可能=1時間あたり120名/台を利用
来場者全員が女子の場合、1台の仮設トイレでは、
開場時間8時間=480分
480分÷1.5分(=1分30秒)=320名 が利用可能
30,000名÷320名=93.75台
※女性は8時間で320人利用可能=1時間あたり40名/台を利用
上記の結果から、
「来場者全員が平均的にトイレに並んだ場合、」(←重要)、
「仮設トイレは32台〜94台必要となる」
というのが、極論の計算です。
しかし、みなさんがイベント会場に行った時に94台も並んだ光景を見たことがありますでしょうか。
ほぼないですよね。
来場者全員が男子の場合、1台の仮設トイレでは、
開場時間8時間=480分
480分÷0.5分(=30秒/利用時間)=960名 が利用可能
30,000名÷960名=31.25台
※男性は8時間で960人利用可能=1時間あたり120名/台を利用
来場者全員が女子の場合、1台の仮設トイレでは、
開場時間8時間=480分
480分÷1.5分(=1分30秒)=320名 が利用可能
30,000名÷320名=93.75台
※女性は8時間で320人利用可能=1時間あたり40名/台を利用
上記の結果から、
「来場者全員が平均的にトイレに並んだ場合、」(←重要)、
「仮設トイレは32台〜94台必要となる」
というのが、極論の計算です。
しかし、みなさんがイベント会場に行った時に94台も並んだ光景を見たことがありますでしょうか。
ほぼないですよね。
■横道にそれますが・・・
仮設トイレの大きさはご存知ですか?
「なんとなく、これくらい」というイメージはお持ちかと思います。
仮設トイレの幅は約850〜900mm程度ですので、もし94台並んだとしたら、約85m程度の長さになります。
「なんとなく、これくらい」というイメージはお持ちかと思います。
仮設トイレの幅は約850〜900mm程度ですので、もし94台並んだとしたら、約85m程度の長さになります。

■話を戻して
先程の計算は8時間を通して一定の間隔で来場者がトイレに行った場合です。
実際の現場では当然ながら一定の間隔ではありません。混む時は混む、空いてる時は空いている状況です。
また、先程の「男子30秒、女子1分30秒」は「小用」ですので、
「大用」となるともちろん長くなります。
また、30,000人の来場者が全員仮設トイレを利用することもありません。
特に最近はウォシュレットでないと嫌だという人も増えてきました。
そのため、イベント会場に入る前に近隣の建物でトイレを済ませてくる方も多くなっています。
実際の現場では当然ながら一定の間隔ではありません。混む時は混む、空いてる時は空いている状況です。
また、先程の「男子30秒、女子1分30秒」は「小用」ですので、
「大用」となるともちろん長くなります。
また、30,000人の来場者が全員仮設トイレを利用することもありません。
特に最近はウォシュレットでないと嫌だという人も増えてきました。
そのため、イベント会場に入る前に近隣の建物でトイレを済ませてくる方も多くなっています。
【まとめ】
前提条件が前回の<受付の方程式>よりも細かくなります。
1:確認すべき条件は何ですか?
1:確認すべき条件は何ですか?
上記の質問により、解を導く要素が出ます。
「来場者総数」「利用可能時間」「男女比率」の3点です。
※今回の前提として、「男性4割/女性6割」として考えていきます。
また、前提条件となった、
「時間利用定数」(男性=120名/台・時間、女性40名/台・時間) も利用します。
Q2:仮設トイレは何台必要ですか?
※今回の前提として、「男性4割/女性6割」として考えていきます。
また、前提条件となった、
「時間利用定数」(男性=120名/台・時間、女性40名/台・時間) も利用します。
Q2:仮設トイレは何台必要ですか?
トイレ設置台数(x)=
{(来場者総数×男女比率)/利用可能時間}/時間利用定数
{(30,000×0.4)/8}/120=12.50台・・・男性
{(30,000×0.6)/8}/40=56.25台・・・女性
12.5台+56.25台=68.75台
A : 69台
となりますが、まあ、机上の空論というものでしょうか。
{(30,000×0.6)/8}/40=56.25台・・・女性
12.5台+56.25台=68.75台
A : 69台
となりますが、まあ、机上の空論というものでしょうか。
【結果的には・・・】
クライアントさんなり、お客さんに対して69台ないとダメですね。。。って言ったことはないです。というのも、この計算には、「使わない人」比率や、「大用比率」が入ってない上に、最も大事な条件の「予算」が含まれていないからです。
トイレの行列はどのイベントでも「仕方ない」になってしまっています。もちろん、私達スタッフ側も行列を作りたくはないですし、スムーズな運営を目指していますが、実際は屋外イベントで近隣にトイレがない場合、行列が出来てしまう台数しか入れることが出来ません。
トイレを設置する費用には、「レンタル費」「運搬・設置・撤去人件費」「汲み取り費」「清掃費」などの諸費用が含まれており、1台あたり3万〜4、5万程度かかってしまいます。まぁ、末端価格ですが。
それ以外に、「トイレメンテナンス費」といって、トイレットペーパーや、水の補充、当日清掃や、列の整理誘導などを行ってくれるスタッフの費用も発生します。
そのため、人数は目安として考え、現地のスペースや予算に応じて設置することになります。どうしても、メインとなる費用でないため予算の割合は非常に低いものとなってしまいますが、トイレの混雑は意外とクレームになることも多いので気をつけましょう。
■仮設トイレに関しての注意事項
おまけですが、仮設トイレに関しての注意事項をお話します。
ここまで真剣に読んだ人は、きっとこの話も興味深く読める人でしょう。
仮設トイレは、「仮設」と言われるだけあって、仮の設置です。
何が借りかというと、「水洗」ではないということです。
もちろん水は流れます。足元のペダルやボタンを踏むと流れますが、その水は水道から出たものではなく、仮設トイレについている「水タンク」から出たものです。そして、便器の下には「便槽」と呼ばれる「し尿」を貯めるタンクがあります。簡単に言えば昔の「ポットン便所」で、「簡易水洗式」と呼ばれます。
イベントが終了するとし尿を汲み取る「バキュームカー」という車両が来て、便槽からし尿を汲み取ります。
そのし尿は、し尿処理場に運ばれ、費用を払って処理をしてもらいます。
■最後に/イベント屋として覚えていてほしい
イベント屋さんとして、トイレに関して覚えていてほしいことは、
特に土日祝日に行われるイベントは②、③を十分に注意してください。
ごみ処理と違い臭いが発生するため、汲み取りが日曜日に出来ないからといってトイレを持ち帰ることが出来ない場合が多いです。
そのため、イベントが日曜日に終了・撤去が行われても、仮設トイレだけそのままになることもあり、月曜日に汲み取り・撤去が必要になるケースが出てきます。
汲み取りはそれぞれの市区町村で多少違いがありますので、東京で出来たからといって、横浜が同じ条件ではない場合もあります。
詳しくは、
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」をご覧ください。
トイレだけではなく、イベントで重要となるゴミ処理に関しての法律でもあります。
長々となりましたが、トイレとイベントは切っても切れないものですので、ぜひより良いイベント作りのために覚えておきましょう。